知財二等兵の手記

知財業界に入ってそこそこ経過した二等兵のブログです。

海賊版への規制強化で逮捕者が出てる件

1.海賊版への規制強化

 先日の記事では、違法ダウンロードの対象の拡大について紹介しましたが、それとは別にもう一点、著作権法が改正されていました。

 それは、リーチサイトの運営行為を著作権侵害とみなす、というものです。リーチサイトとは、違法アップロードされた著作物(海賊版)へのリンク集を記載したサイトのことです。(だから、公式へのリンク集のみを記載したサイトは、著作権侵害にはなりません。)

 

 男性諸君は若かりし頃、リーチサイトを利用したことがあるのではないでしょうか笑。例えば、Porn○ub内の海賊版へのリンク集を掲載しているサイトを運営する行為は、今回の改正で著作権侵害になってしまいます。(あーでも最近のporn○ubでの削除騒ぎで海賊版は消えたのかな?)

 ただ、上記のようなリーチサイトは、インターネット上に星の数ほど存在するので、全員摘発するなんて不可能でしょうし、この改正の情報を見たときは、どうせ何も変わらんだろうな、なんて思ってました。

 

2.逮捕者でたってよ。

 朝日新聞の記事(*1)によると、「海賊版アダルトビデオ(AV)のサイトへ誘導するリンクを張るなどした『リーチサイト』を開設して、視聴できるようにしたなどとして、著作権法及び名誉毀損の疑いで逮捕されてます。

 

 この逮捕を踏まえると、今回の改正は結構良い(言い換えると、「社会に影響を与える」)んじゃないでしょうか。前回の記事では、違法ダウンロードの対象を拡大しても、閲覧を防げないんじゃ意味がない、と書きました。既存ユーザが、どの程度ダウンロードまでしているのか不明確であるし、おそらく大多数が閲覧のみであると考えると、既存ユーザに影響を与えない改正の効果は薄いのではないか、という趣旨です。

 

 これに対し、今回の改正は、既存の多数のリーチサイトを摘発可能になるため、効果の大きいものだと感じます。

 

 ただ気になるのは、上記の逮捕がディープポルノ(フェイクポルノ)による名誉毀損との合わせ技であることです。むしろ、海賊版のリンクが3件のみであること、リーチサイトの運営のみでの逮捕者が現時点で出ていないことから、名誉毀損のほうが重く見られている気がします。

 

*1 https://www.asahi.com/articles/ASNCM3SX0NCMPLZB00C.html