知財二等兵の手記

知財業界に入ってそこそこ経過した二等兵のブログです。

店名公表はリンチ(私刑)では?

1.コロナ対策としての店名公表

 朝日新聞によれば、「都道府県知事が宣言時に行う休業や営業時間短縮の要請に応じない飲食店の店名を公表できるよう、関係政令を改正する方向で調整に入った」そうだ(*1)

 

 以前より、大阪府や神奈川県等の一部の都道府県において、自粛要請に応じないパチンコ店などの店名を公表するという措置が暫定的に取られたが、今回は本措置を適法とするように政令を改正するようだ。・

 

2.この国やばくないか?(僕の感想です)

 そもそも、自粛要請に従わせたいのであれば、自粛可能な体制(補助金等)を国が提供するべきで、その上で従わない場合には国が法律の下で刑罰をあたえるべきだろう。体制の提供が出来ないのであれば、飲食店パチンコ店の従業員にも生活があるのだから、自粛要請なんて出すべきでない。

 万歩譲って体制の提供が出来ないまま自粛要請を出さざるを得ないような状況であれば、国民の反発を承知の上で、国が法による刑罰を持って自粛させるべきだろう。この場合、当然反発はあるだろうが、その反発と折り合いをつけながら着地点を探すべきだ。

 

 店名公表の何が一番やばいって、店に自粛させる為の制裁に国民を加担させてることだと僕は思う。

 

 そもそも、店名公表しただけでは店は絶対に自粛しないだろう。すなわち、公表された店名を見た国民が、店に制裁を加えることで、自粛が行われる。(ここでの制裁とは、店の今後の利用を控えるという消極的な行為も含むが、当然、店への誹謗中傷などの積極的な行為も含む(*2))。つまり、店名公表は、初めから私刑(リンチ)の存在を前提とする自粛要請としか思えない。

 

 こんなのは、直接刑罰を下すと国民が反発するから、国民をギロチン代わりにして飲食店等を自粛させようとしているに過ぎない。この場合、国は、飲食店を強制的に自粛させたわけでもないので(直接的な行為は店名を公表しただけ)、自粛に対する責任から逃れられるため、極めて無責任である。更に、国民の制裁が起きず自粛しない場合は感染拡大が抑制されないため、コロナ対策としても不十分である。

 

まともな法律家は政府にいないのか?

(それとも僕がおかしいのかな。店名公表が妥当だと考える人がいれば、ご意見伺いたいです。)

 

 

 

*1 

news.yahoo.co.jp

*2

www.yomiuri.co.jp